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2010年のマイ・ベスト

年末らしく今年のアートイベント、その他を振り返りました。(写真は無関係)

このブログはいちアートファンとして気ままにアートイベントに出かけ、その記憶を気ままにつぶやいたにすぎないので、全然組織的ではなく、今日を理解するための評論でもありません。

ただ、今年出かけたアートイベントをあたらめて見て、記事を読むと自分の嗜好というか、指向というか、趣味がはっきりしました。

順位はつけず、訪問日をベースにしているので2009年開始のイベントも含まれます。

プライマリー・フィールドⅡ 絵画の現在@神奈川県立近代美術館 葉山
小西真奈作品に囲まれる歓び。やっぱり自分は絵画が好きなんだと再認識しました。

「日本の前衛 1945-1999」瀬木慎一(生活の友社)
戦後のアート業界の遷り変りを包括的に知りたかったのでとても重宝した。

国立民族学博物館
博物館とは世界を包括的に理解するあり方だったんだなあと思い出し、それを体感させてくれました。一泊してでもまた行きたい。

ダムタイプ・ヴィデオ上映@NTT ICC
メディアアート、パフォーマンス、テクノロジーと社会問題。この時代の彼らの作品には私が気になることすべてがある。

国立歴史民俗博物館
国立博物館の実力と物量に感動。沖ノ島のジオラマには震えた。ここも一泊してでも再訪したい。縄文からスタートすると江戸時代くらいで体力の限界。

時の宙づり—生と死のあわいで@IZU PHOTO MUSEUM
個人から収集したスナップと記念写真による展示会。キュレーターのアイデアと熱意があれば、有名作品がひとつもなくても素晴らしい展示会は作れるのだと教えてくれた。

若林砂絵子-平面の空間(PLATFORM2010)@練馬区立美術館
小さな区立美術館だが、その誠実な取り組みに感心した。優れた鑑賞者を多く持っていることが日本のアート業界の強みだと思う。それに大きく貢献しているのがこれら地域美術館の地道な取り組みなのだろう。

アーティスト・ファイル2010―現代の作家たち@国立新美術館
桑久保徹、O JUN、福田尚代。多分一生好きな作家たちです。そのことは間違いないので、これからもずっと追いかけるだろうと確信しました。

長澤英俊展 オーロラの向かう所@神奈川県立美術館 葉山
スタイルのある作家とスタイルのある美術館と、わたし的にベストの組み合わせだった。学芸員のトークもよかった。

命の認識@東京大学総合研究博物館
博物館展示の極北をさらに遠くへ引き伸ばした。これからも目が離せない施設です。

オブジェの方へ-変貌する「本」の世界-@うらわ美術館
反芸術とコンセプトの時代をこれだけ満喫できる展示会はなかった。松澤宥に出会ったのもここだし。

DOMANI・明日展2009@国立新美術館
アートイベントとしての満足度が高い。歩をすすめるごとにアートを鑑賞する歓びが新たに湧き上がる。

ウィリアム・ケントリッジ 歩きながら歴史を考える@東京国立近代美術館
作品も展示も重量級。これもとても満足度が高い。

「文化資源としての炭鉱」展@目黒区美術館
美術館とは十分な調査を行い、必要な作品を収集・保管し、その後にようやく展示があるのだ、ということを教えてくれた。これも膨大な知識と情報に裏打ちされてテーマが開花した実例です。

ということで、結局自分の指向は、

・絵画作品
・前衛以降のコンセプトアート
・しっかりとしたキュレーション

なのだ、ということが分かりました。

来年はこれだけたくさん行けるか分かりませんが、テーマに沿って追いかけていきたいと思います。

ファンタスマ―ケイト・ロードの標本室@東京大学総合研究博物館 小石川分館

ファンタスマ―ケイト・ロードの標本室@東京大学総合研究博物館 小石川分館そもそもこの博物館の「驚異の部屋」というコンセプトの完成度が高い。

明治時代からの学術研究に使用した図面、機材、人体モデル、動物の剥製、鉱物標本。それを収める時代のついた什器。空間を構成する建物。ケイト・ロードの色鮮やかな架空の生物がそこに馴染んでいるかというとそうとは言えなかった。

時代と歴史のある空間に何かを付け加えてアートとして再構築ようというのは至難の業であるが、今回はうまくいっていないようだった。

それを成功させるにはベルサイユ宮殿で展示をした村上隆ほどの力量が必要ということか。

火星 ウソカラデタマコト展@東京大学総合研究博物館

火星 ウソカラデタマコト展@東京大学総合研究博物館多分、低予算ながら強烈に引きつけられる展示会を連発している東大研究博物館の新しい展示会。今回はJAXAのMELOS(ミーロス)計画について。

はやぶさ騒動のさなかであり、あかつきが金星に向けて順調に航海中なのになぜ火星?と思ったけど、キャプションをよく読んでみると納得。

この展示会に特徴的なのはMELOS計画で検討中の4つの素案(アイデア)をそのまま提示して、みなさんならどれがいいと思う?と聞いていること。宇宙開発の計画について市民の声を聞くのは意外とこれが初めてとのこと。また、研究者とのフリートークも予定されているとのこと。

公金によるプロジェクトには市民の理解が欠かせなくなったという政権交代のひとつの成果なんでしょうか。いずれにしても成果だけを報告するこれまでの宇宙開発とは違った取り組みに好感度アップです。

命の認識@東京大学総合研究博物館

命の認識@東京大学総合研究博物館アート展ではないが展示制作の考え方に通じるものがあると思いここに紹介。

部屋いっぱいを占めるテーブルに整然と並べられた膨大な数の骨たち。イノシシ、クマ、タヌキ、ミンククジラなどがおそらく数百個あるのではないだろうか。また、入り口近くには死産のゾウとキリンのホルマリン漬けガラス水槽。さらに自由に開けることができる大型冷凍庫の中には、これから標本にされるであろう小動物のビニール袋。

それぞれがなんなのか、何故このような展示を作ったのかの説明がほぼない。なので、知識としての理解はできないだろうけど、タイトルにあるように命というものの物理的な存在感を体感することができました。

ウェブサイトのキャッチコピーが「苦悩の部屋へようこそ」だもの。細々とした意図をきっぱりと捨てて伝えたいことをひとつに絞ったこの展示制作者は、ホント腹が座っています。

常設展示も人骨だったし、骨づくしの一時でした。教えてもらってたまたまやっていた巨大哺乳類の解体作業も遠望できた(遠くてよく分からなかったが)。